酒田市長殿ーー鳥海山の噴火ーー871年(貞観13年)の教訓

 酒田市長殿

以下は、火山学者林信太郎の「鳥海山貞観十三年(871年)噴火で溶岩流は噴出したか?」(『歴史地震』17号、2001年)には、

「鳥海山は秋田山形県境に位置する巨大な成層火山であり、1974年に水蒸気爆発を起こした活火山である。また、最近の噴火頻度からみて21世紀中に噴火する可能性が高い」

とある。念のためにも、酒田市においても鳥海山噴火の防災計画立案準備をなさることをお勧めしたい。

古人曰「 The sooner, the better.」


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貞観13(871)年4月8日出羽国の鳥海山が噴火,溶岩流が海に達し,泥流が広がった(5月16日記事)


鳥海山 有史以降の火山活動

以下の表は、気象庁|鳥海山 有史以降の火山活動からの転載

有史以降の火山活動(▲は噴火年を示す)

年代現象活動経過・被害状況等
▲708~15(和銅元~7)年水蒸気噴火噴火場所は新山付近。
▲810~23(弘仁元~14)年水蒸気噴火噴火場所は新山付近。
▲830(天長7)年水蒸気噴火?(泥流発生)1月。降下火砕物?泥流。
噴火場所は新山付近。
▲871(貞観13)年中規模:水蒸気噴火→マグマ噴火火砕物降下→溶岩流。噴火場所は新山付近。
5月1日~。泥流が流下、川の水が青黒く変色して氾濫、堤防が崩壊、魚類多数死ぬ。
マグマ噴出量は0.025 DRE km3。(VEI2)
▲939(天慶2)年水蒸気噴火5月。
噴火場所は新山付近。
▲1659~63 (万治2~寛文3)年水蒸気噴火4月~。噴火場所は新山付近。
稲作に被害。
▲1740~47(元文5~延亨4)年水蒸気噴火6月~。噴火場所は新山付近。
荒神ヶ岳の南東側山腹火口から噴煙多量。硫黄化合物が北側の川に流入し、水田・川魚に被害。噴火数年間続く。
▲1800~04(寛政12~文化元)年水蒸気噴火→マグマ噴火、(泥流発生)火砕物降下→溶岩ドーム、泥流。噴火場所は新山付近。
新火口丘生成。活動は1800年冬から始まり、1801年3月頃から噴煙絶えず、8月下旬に噴火は最も激しくなり荒神ヶ岳付近で爆発、噴石、灰を噴出し、新山(享和岳)を形成。登山者8名噴石で死亡。
マグマ噴出量は0.0035 DRE km3
1804(文化元)年地震7月10日「象潟(きさかた)地震」。西山麓の由利・飽海・田川郡で死者333名、倒壊家屋5500余棟、土地隆起、津波。
▲1821(文政4)年水蒸気噴火5月23日。噴火場所は新山・七高山付近。
▲1834(天保5)年水蒸気噴火7月9日。噴火場所は新山付近。
川魚等に被害。
▲1974(昭和49)年小規模:水蒸気噴火,(泥流発生)2~5月。火砕物降下、泥流。噴火場所は新山付近。
前年12月、火山性地震の発生始まる。1月、噴気が発見される。2月下旬、鳴動。
3月1日新山の東側火口で噴火し、噴煙、降灰(水蒸気噴火)。6日に泥流。4月8日から新山西側及び荒神ヶ岳の割れ目から噴煙。4月24日に黒煙と泥流。4月28日に北方約30kmまで降灰。5月8日の灰色噴煙を最後に以後は弱い噴気となる。(VEI1)
1987(昭和62)年地震群発7月11日南東約5kmで地震(M3.2)、11月25日~12月1日北西15kmの象潟(きさかた)で地震群発。

日本活火山総覧(第4版)(気象庁編,2013)による。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考に、文献の追記を行った。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付加している。詳しくはこちらを参照のこと。


*「有史時代の噴火はすべて東鳥海馬蹄形カルデラ内の荒神ヶ岳から七高山近辺にかけて起こっていたと考えられている.したがって,次の噴火もこの地域で発生する可能性が大きい.また,これまでの噴火の間隔は10数年から150年であることから(不確実な記録を含めるが,古文書記録のない11-15世紀をのぞく),今後いつ噴火が発生してもなんら不思議ではない.まずは少量の火山灰と噴石放出を伴う水蒸気噴火で始まることが想定されるが,その前に地温上昇などにより噴気地帯が形成される可能性もある.大場ほか(2012a)によれば,過去4,500年間を見ると平均83年に1回よりも高い頻度で噴火が発生し,山体内部の熱水系と反応して水蒸気噴火あるいはマグマ水蒸気噴火を起こす可能性が高い.また,火山灰層から見る限りこの期間では数百年間の活動活発期と低調期が繰り返していることから,噴火記録のない11-15世紀は古文書記録の欠如ではなく,活動低調期で噴火現象が起こらなかった可能性が高いと見ることもできる.「(鳥海山 - 今後の噴火について -


参考文献 地震火山19貞観地震翌々年の出羽鳥海山の噴火: 保立道久の研究雑記

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